指導歴20年のベテラン講師が教える暗記の極意!Ankiアプリで暗記マスターへ!
「暗記が苦手です」「知識が覚えられなくて困っています」
私が学習カウンセリングをする際に、受験生の方がこのように相談してくるケースが大変多いです。
この記事を読んでいるということは、暗記の学習において何かしらの問題を抱えていらっしゃるかもしれません。
知識を暗記することは何よりも学習の根源となるものです。
そして、暗記した知識を活用して行うものが実践的な学習です。
つまり、この学習の第一歩である暗記に問題があると学習は進まず、基礎レベルから応用レベルに進むことができません。
そうなると、いつまでも実践的な力は身に付かず、試験などで結果を出すことは難しくなります。
なぜ暗記ができない人は暗記ができないのでしょうか。
わたしが今まで見てきた暗記に困っている生徒が抱える問題点は
- 復習をする計画を立てず、復習をするタイミングが最悪
- 順番や位置で覚えてしまっている
- イメージ力が弱く定着に時間がかかってしまう
以上のような問題を自分で解決することはなかなか難しいと思います。
実際、以上のようなことをしっかりこなしていくと、自分で復習の計画を細かく立てたり、暗記カードを作成したりと想像以上に手間がかかってしまいます。
途中で挫折してしまう人が多いのも納得できます。
そして、私の経験から言うと、暗記ができないという人の多くは何よりも暗記する準備ができていないことが多いです。
暗記系のアプリなどを使って様々な工夫をしている方もこのポイントがわかっていなければ、なかなかうまく暗記ができていかないことが考えられます。
そこで、今回私がお話ししたいのは、脳が情報、知識を覚える仕組みから私が生徒を指導してきた経験から考える暗記の準備という考え方、そして、短期的な記憶を永久に残る長期的な記憶へ変える行動をしっかりサポートしてくれるオススメな暗記系アプリについてです。
今回私がお勧めする暗記系アプリは、「Anki」です。
このアプリは先ほど挙げた暗記学習で起きる様々な問題を解決してくれるアプリです。
「Anki」を使いこなせば、勝手に計画的に最適な復習のタイミングで、イメージを持ちながら、いつの間にか暗記が効率よく、短時間でできるようになれます。
ぜひ、試してみていただいて皆さんの暗記学習に役立てていただきたいと思います。
(1)脳が記憶をする仕組みとは?
目次
①脳は生命維持装置!本当に必要な記憶しか覚えない!
頭に残る記憶とは、どんな記憶でしょうか?
それは、生命に関わる情報に関する記憶です。
冬に石油ストーブを触ったらどうなりますか?
もちろん火傷をしてしまいます。
こんなこと当たり前だと思われるかもしれません。
しかし、それは、あなたが子供の頃などに親などから言われたり、実際にストーブに触って痛い思いをしたりしたから覚えているのです。
この記憶は長期記憶と呼ばれ、一生忘れることのない記憶となっているはずです。
一方、「」と言われたら、なかなか答えは出てこないと思います。
このような試験のために一夜漬けで覚えた記憶は数十分から1、2日で忘れてしまう短期記憶と呼ばれます。
つまり、記憶する時に大きな役割を果たす脳の海馬は、命に関わる記憶を優先的に長期記憶として保存先の大脳皮質に送るのです。
②受験、資格に関する知識は覚えにくい記憶ばかり、理解なき暗記はなし
記憶には覚えやすい記憶と覚えにくい記憶があることはお分かりいただけたと思います。
前者のストーブの記憶は、言葉では説明できない無意識が関わる記憶である手続き記憶と呼ばれるものです。
例えば、自転車の乗り方や楽器の演奏、ゴルフのスイングなど体で覚える記憶が考えられます。
後者の年号の記憶は、言葉で説明できる意味記憶と言われるものです。意味記憶にはもう一つ自分が直接見たり、経験したりしたもののエピソード記憶というものが存在します。
手続き記憶、意味記憶、エピソード記憶どれが一番覚えにくいのでしょうか。
それは、もちろん経験に基づかず、人間が作った記号を事象に当てはめただけの意味記憶でしょう。
要するに、私たちが受験や資格の勉強において獲得しなければならない記憶は、一番記憶としづらい意味記憶ということです。
③覚えにくい記憶を覚えるには?覚えやすい記憶に変えてあげるコツとは?
では、どのようにしたらこの意味記憶を覚えることができるようになるのでしょうか。
頑張って何度も見たり、読んだりすることでしょうか?
もちろんそれも記憶にとっては大変重要であることは皆さんご存知だと思います。
しかし、みなさんが案外注目をしていない大変重要なことは、まず覚える知識をしっかりと理解することです。
例えば、法律を学ぶときに個別の条文をそのまま丸暗記しようとするのではなく、まずその条文ができた歴史的社会的背景やその法律の必要性など体系立てて理解することです。
実は、私が多くの生徒を指導してきて、暗記ができない大きな原因となっているのは、この知識理解ができていないことなのです。
頭がいい人は記憶力もいいと思っている方が多いと思います。
正直、記憶力に差があるとは私は思いません。
頭がよく成績がいい人は、他の人より理解力が高いから、記憶することが簡単になっているというだけなのです。
以前私が指導したある生徒は、よく努力をし、毎日長時間受験勉強を頑張っていました。しかし、いっこうに成績も上がらず、本人は努力と結果が釣り合わず苦しんでいました。
実際、授業などで問題を解かせたり、質問に答えさせたりしようとしても、知識が出てこず困ってしまう姿を見ていました。
そこで、私が行った対策は彼に模擬授業をさせることでした。
授業をするということは、その一つひとつの知識に対ししっかりとした理解ができていないといけません。
彼は持ち前の頑張りで、授業をする準備をしていました。すると、授業をする予定の単元において、どんどん理解できていないことが判明していきました。
要するに、彼は自分が理解できたと思い込んでいて、しっかりとした理解がないために曖昧な記憶となり、どんどん知識が抜けていってしまうという状況だったのです。
だから、すぐにもう一度彼が知識を一つずつ本当に理解できるまで時間をかけ暗記をさせて模擬授業をさせていった結果、理解力も上がり彼の学力はみるみる伸びて見事志望校に合格していきました。
④しっかりとした理解が覚えやすい記憶を生み出す
彼の中で、一体何が起きたのでしょうか?
脳は、納得することで快感を呼び、ドーパミンを分泌することで記憶回路を強くします。
そして、その快感の体験が覚えやすい体験に基づくエピソード記憶へと変化します。
つまり、彼は、覚えることを理解しようと頑張り、理解できた時の快感を覚えたことで記憶が強化され、そして、模擬授業をすることでエピソード記憶としてさらに強化をされたということだと思います。
暗記をする上で、覚える知識をしっかりと理解することが覚えるための準備と私は考えています。
まず、その日に学習したことをこのレベルまで上げてください。
そうすれば、あなたが覚えたい知識が覚えやすい記憶に変わっています。
そうでないと、脳は覚えたくても覚えられないのです。
明日やろうはやめましょう。
記憶は時間が経てば経つほど抜けていってしまいます。20分後には約40%、1日後にはなんと75%も忘れてしまうのです。
これでは、理解しようにも理解しづらくて、覚えやすい記憶に変えるのが難しくなってしまいます。
鉄は熱いうちに打て!と同じように記憶も熱いうちに覚えましょう!
さあ、準備ができたら、ここから短期記憶を長期記憶に変えていきます。
⑤覚えやすくした記憶を適切な復習とアウトプットで強化
はじめにお話ししたように、長期記憶にするかしないか決めるのは脳の海馬という部分です。
海馬は私たちが寝ている間に、その日の記憶を整理します。そして、海馬が必要だと判断した記憶だけが長期記憶として大脳皮質に送られるのです。
しかし、生命維持装置である脳の海馬が必要だと判断するのは、命に関わる記憶なのです。
だから、私たちは覚えたい知識を海馬に必要だと勘違いさせなければいけないということになります。
私が考える海馬を勘違いさせるポイントは3つです。
適切なタイミングで何度もその知識を海馬に送る
「何度も送られてくる記憶だから大切なのかも?」と海馬が勘違いします。
これが、暗記=反復というイメージをつけているのですが、ただ反復し続ければいいというわけではありません。
よく私の生徒に毎日単語帳を見て覚えようとしているのに、覚えられない生徒がいます。
その原因は毎日やってしまうことなのです。
実は、記憶の強化には「忘却」が必要です。この忘却していく良いタイミングで復習を入れ反復できるかが記憶強化の鍵なのです。
覚えるもののイメージをいろんな感覚で強くすること
概念的なイメージだけでなく視覚や聴覚などの五感を使うことで記憶が覚えやすくなります。抽象的な概念はイメージしづらい意味記憶です。それを、写真や画像を見て実際に視覚体験をしたり、単語を声に出して読んだりして聴覚体験をすることで覚えにくい意味記憶を覚えやすいエピソード記憶に変えます。
適切なタイミングで何度もアウトプットをすること
ある程度覚えた記憶を永久的なものにするために必要な最後の仕上げです。
皆さん自転車に乗ることはできますか?
その自転車の乗り方を忘れることはないのではないでしょうか?
その記憶は海馬から大脳皮質に保管されていて、使うときにワーキングメモリーという短期記憶を司る部分に上がってきます。
これが思い出すという作業です。
記憶の強化にはこの大脳皮質に保管されている知識をワーキングメモリーに持ってくるというアウトプットの作業を多くすることが大切です。
そうすることで、「たくさん使われる記憶だから分かりやすくて取り出しやすいところに置いておこう」と海馬が記憶を整理してくれます。
そして、いつでも思い出せる試験などで使える知識へとなっていくのです。
(2)暗記用アプリAnkiを使って、効率的な暗記学習をしよう
暗記のコツはお分かりいただけたと思います。
しかし、覚えやすい知識に変えるための準備をし、適切な時期に復習の計画を立てるだけでもとても大変な作業だと思います。
でも、その作業をしないと長期的な使える記憶にはならないのです。暗記に努力をつきものであることは間違いありません。
そこで、その大変な暗記をする作業を簡素化できるアプリをご紹介したいと思います。
たくさん優秀な暗記系のアプリは出ていますが、その中でも私がオススメするのは「Anki」です。実際、自分の生徒が使用していて、効果が出たので安心してオススメできます。
ここで、オススメする「Anki」の機能をご紹介します。
自分で復習の計画をしなくていい
覚えたい知識を良いタイミングで復習をしようとするとそれだけで日が暮れそうですね。
しかも、毎日勉強して覚える知識が増える受験生は、自分で計画しようにも収集がつかない状況になってしまうケースも多いようです。
その点、暗記は入力した知識を1分後、10分後、1時間後、1日後など適切な復習のタイミングを知らせてくれます。
入力したらあとはAnkiに任せて復習をするだけだからとても簡単です。
手軽に簡単に暗記カードが作れる
暗記の王道である単語カード。これは私自身も使っていたぐらい暗記するには大変有効なアイテムだと思います。
しかし、この単語カードを作るという作業が時間の効率を悪くしてしまうのが問題でした。
そこで、Ankiを使用すれば、電子媒体の強みでフリック入力も使え単語カードなどあっという間にカードを作成することもできます。
画像音声などが挿入できる
電子媒体の強みは、画像や音声もカードにできてしまうことでしょう。
文字の羅列ではなく視覚や聴覚を使って、イメージが強化できエピソード記憶として暗記できるようになる。
「zebra」の単語を覚えるときに、実際にシマウマの画像をスクリーンショットして、暗記カードに貼り付けるなどすると効果的です。
位置や順番で覚えることがなくなる
単語帳などを使っているとよく起きる問題が、単語の出てくる順番やページの中の位置で覚えてしまうということです。実際、この問題が起きる生徒は、実践的な試験などで記憶がなかなか出てこず、問題を解くのに時間がかかってしまう傾向があります。
その点「Anki」は毎回ランダムで必要なカードしか出題されないため、記憶を引っ張り出す良いトレーニングができます。
覚えたいジャンルごとに集中できるため、記憶のネットワークが構築しやすい
記憶は他の記憶と繋がることで強くなる傾向があります。そのため、記憶同士を繋げる作業は大切です。
Ankiはデッキというファイルを作成して、その中に暗記カードを作っていくため、各科目ごと、単元ごとなどの分類ができ記憶を繋げて覚えていくことが可能になります。
まとめ
記憶には、体験的や無意識的な覚えやすい記憶と抽象的な記号のような覚えにくい記憶があります。
受験や資格の勉強は覚えにくい記憶です。だから、私たちが暗記に成功するためには、まず何よりも「理解をすること」が重要です。理解することによって、覚えにくい記憶を覚えやすい記憶に変えることに繋がるからです。
そして、一つひとつの知識のイメージを高め、適切なタイミングで復習を入れ、アウトプットを行うことで短期的な記憶が長期的な記憶になっていきます。
この短期記憶を長期記憶に変える手助けしてくれるのが、暗記アプリ「Anki」です。
このアプリを使えば、暗記をするために必要な行動をしっかりと行うことができ、必ず良い結果に繋がると思います。
皆さんの学習が効率的で効果的なものになりますように。